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オルガニート作曲・編曲講座

ハ長調への移調の方法

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 移調とは、ある調で書かれている楽譜を別の調に書きかえることです。 ここでは、ある調で書かれている楽譜をハ長調に移調する話をします。 難しいと思うかもしれませんが、移調は簡単です。 すべての音を同じ数だけ上や下にずらすだけです。 いくつずらすかはト音記号のすぐ右に書いてある♯(シャープ)や♭(フラット)の数で決まります。 ここでは音楽理論のことにはなるべくふれずに簡単に移調する方法をご説明します。 きちんとした音楽理論を知りたい場合は「楽典」などの本を読んでください。

♪1.調について
 移調の話をする前に調そのもについて少し説明します。 「ハ長調」とは「ハ」すなわち「ド」の音から始まる長調のことです。 ちなみに「ハ」は日本語「ド」はイタリア語です。
各国語の音名

 上の楽譜はハ長調の音階です。イタリア語と日本語とついでに英語での音の名前です。
例えば「ト長調」は「ト」すなわち「ソ」の音から始まる 長調のことです。ハ長調の「ハ」、ト長調の「ト」のことを主音といいます。
 主音になる音は上記の7つの音の他に♯や♭の付いた音があります。 ♯のことを日本語で「嬰(えい)」、♭を「変(へん)」といいます。 よって、ド♯が主音の長調のことは、「嬰ハ長調」といいます。 シ♭が主音の長調のことは、「変ロ長調」といいます。

 「ハ」が主音の調には「ハ長調」と「ハ短調」があります。「長調」は明るい感じのする調、 「短調」は暗い感じのする調です。ここでは、短調のことは知らなくても話を進められるので、 どの楽譜も長調だと思って説明することにします。

♪2.移調の例題
 例としてト長調の「故郷(ふるさと)」をハ長調に移調してみます。 下の楽譜は「故郷」の始めの部分です。
故郷(ト長調)のはじめの4小節

 ト音記号の右側に♯がひとつ付いています。これはト長調だということを表しています。 ト音記号のすぐ右側に付いている♯または♭ことを調号といいます。 調を表す記号という意味です。この調号の数によって、調が決まっています。

ト長調をハ長調に移調  ト長調をハ長調に移すには、ト長調の主音「ソ」の音をハ長調の主音「ド」に移動すればいいのです。 右の図のように「ソ」を低い「ド」に移動するには5つ音を下げればいいのです。 指折り「ソ・ファ・ミ・レ・ド」というふうに音階を数えながら下がっていくと、 ソからドに行くには5つ(最初のソも最後のドも含める)下げればいい ことになります。 同様に「ソ」を高いほうの「ド」に移動するには「ソ・ラ・シ・ド」なので、 4つ音を上げればいいことになります。 移動は上向きでも下向きでもどちらでもかまいません。 上に移動するか下に移動するかは、移動後の音域を考えながら選択してください。 楽譜上のすべての音を下に5つ、またはすべての音を上に4つ移動すれば、 ト長調をハ長調に移調することができます。
 「故郷」の例で、すべての音を下に5つ移動をすることにして、それぞれの音の移動先の音を 探してみましょう。「ラ」の5つ下の音は「レ」、「シ」の5つ下は「ミ」、「ド」は「ファ」、 「レ」は「ソ」になります。これをもとに楽譜をハ長調に書きなおすと、下のようになります。
故郷(ハ長調)のはじめの4小節


♪3.いろいろな調の移調
 すべての調についていくつ音を移動すればいいのかを下の表にまとめました。 それぞれの調の主音がわかれば、主音がドになるように移動させればいいのです。表中の [ハ長調への移動音数]は、必ず元の音と移動先の音の両方を含めて数えてください。
調号と主音♯の数調の名前ハ長調への
移動音数
調号と主音♭の数調の名前ハ長調への
移動音数
ト長調ト長調下に5または
上に4
ヘ長調ヘ長調下に4または
上に5
ニ長調ニ長調下に2または
上に7
変ロ長調変ロ長調下に7または
上に2
イ長調イ長調下に6または
上に3
変ホ長調変ホ長調下に3または
上に6
ホ長調ホ長調下に3または
上に6
変イ長調変イ長調下に6または
上に3
ロ長調ロ長調下に7または
上に2
変ニ長調変ニ長調下に2または
上に7
嬰へ長調嬰へ長調下に4または
上に5
変ト長調変ト長調下に5または
上に4
嬰ハ長調嬰ハ長調そのまま変ハ長調変ハ長調そのまま

♪4.臨時記号について
臨時記号が付いている例  臨時記号とは、楽譜の中の音符の左に付いている♯や♭や (ナチュラル)のことです。♯は半音上げる、♭は半音下げる、は ♯や♭の付いている音を元に戻す記号です。
 移調する場合、♯と♭の付いている音は、移調してもそのまま付けておけばいいですが、 は、♯に対するなのか、 ♭に対するなのかによって、移調先の音につける記号が違ってきます。 ♯に対するのときは、が 付くことによって、その音を半音下げることになるので、移調先では♭を付けます。 逆に♭に対するの時は、が 付くことによって、その音を半音上げることになるので、移調先では♯を付けます。
 例えば、ト長調のとファはもともと調号で♯が付いていますが、臨時記号で が付いたときは、ハ長調に移調するとシ♭になります。  へ長調のシはもともと調号で♭が付いていますが、臨時記号で が付いたときは、ハ長調に移調するとファ♯になります。

以上で移調の説明は終わりです。
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