楽譜さえ読めれば、既存の曲をオルガニート用に編曲する作業はそれほど難しい
ことではありません。オルガニートの音色で聴いたみたい曲があったら、
編曲にチャレンジしてみましょう。
最も簡単に編曲するには、1.編曲したい曲の楽譜を用意して、2.ハ長調に移調して、
3.オルガニートの条件に合うように音を足したり引いたりして、4.オルガニート用のカードに
印をつけて5.穴をあけて完成させます。
オルガニートを購入すると、穴のあいていないこんなカードが付いてきます。
このカードに専用の穴あけパンチで穴をあけて曲を作ります。
実際の長さは約53cmです。
では、さっそく以下の手順で一緒に編曲をしてみましょう。
♪1.楽譜の用意
楽譜の選び方のポイントです。
- 伴奏付きの楽譜を選びましょう。メロディだけの楽譜もありますが、伴奏が付いていないと
伴奏を自分で考えなければならないので最初は難しいと思います。
伴奏が付いていて更にコードネーム(楽譜の上に書いてあるCとかGとかのアルファベットの記号)
が書いてある楽譜、これがベストです。
- なるべく簡単そうな、シンプルな楽譜を選びましょう。
そのまま使える部分が多い可能性が高いです。
- なるべくハ長調で書いてある楽譜を選びましょう。
オルガニートはハ長調で調律されているからです。ハ長調かどうかの見分け方は簡単です。
ハ長調の楽譜はト音記号のすぐ右側に、調号(#や♭)が付いていません。
もし、ハ長調でない楽譜の場合は、ハ長調に移調しなければならないので、
こちらの「ハ長調への移調の方法」を見てください。
♪2.曲の選び方
オルガニート用に編曲するには不向きな曲もあります。次ぎのような曲は不向きなので、
編曲するのが非常に難しいのであまりお勧めしません。原曲の楽譜を見て確認してください。
- 臨時記号(楽譜の中の音符の左に書いてある#や♭)のたくさん出てくる曲。
- 曲のテンポが速くて、同じ音が連続してたくさん出てくる曲。
♪3.オルガニート用編曲の大前提
編曲するさいにこれだけは守らなければならないポイントです。
- オルガニートで出せる音は下の20個の音です。これ以外の音を使っている曲は、その音を
省略したり、1オクターブ上げたり下げたり、他の音で代用します。
-
オルガニートでは同じ音を狭い間隔で続けて使うことができません。
オルガニート用カードの縦の実線の間隔より狭い間隔で同じ音を続けて使うことはできません。
縦実線の間隔を普通は4分音符とします。つまり4分音符より狭い間隔で同じ音を続けることが
できないのです。狭い間隔で同じ音を使うと、2番目の音が発音されません。
狭い間隔で同じ音が出てくる曲は、どちらかの音を省略したり、他の音で代用したりします。
(とてもゆっくりな曲の場合は、縦実線を8分音符にすることもできるので、
8分音符まではOKということになります。)
♪4.編曲実践
以上のことを踏まえて、わらべうたの「うさぎ」を例にして解説します。
編曲の前に、もしハ長調でない曲を編曲する場合は、まずハ長調移調した楽譜を作ってください。
詳しくは「ハ長調への移調の方法」を見てください。
上の楽譜は原曲の楽譜です。緑色の音符はオルガニートにはない音です。
青の音符は、同じ音が狭い間隔で出てくる部分です。
これらの色のついている音符はどうにかしなければなりません。それが編曲です。
どうにかしたのが下の楽譜です。(赤の音符はメロディです。)
- 1小節目、3小節目の下のファは、もともと1オクターブ上のファがあるので省略しました。
- 3小節目のメロディのファは、3つのファのうち真中のファを省略しました。
- 5小節目から6小節目の低い音は、1オクターブ上げました。
低いドはオルガニートで出せる音ですが、次ぎの音とのつながりをよくするために1オクターブ上げました。
- 5小節目の最後の音はもともとラですが、ドで代用しました。なぜドにしたかというと、
原曲のメロディの音がドだからです。その音の周辺で使われている音を代用として使うと、うまくいく
場合が多いです。なので、この場合ラ(5小節目の最初のラと同じ高さの音)でもいいと思います。次ぎの音がシでなかったら
シでもいいと思います。または、単に省略しても
いいです。
- 5小節目のメロディのドと6小節目の16分音符で同じ音が続くところも省略しました。
同じ音が2つ続くときは、始めの音より2番目の音を省略するほうがいい場合が多いです。
♪5.カードの製作
- オルガニート用カードに小節線を引きましょう。「うさぎ」の場合は2拍子なので縦の実線
2本おきに線をなぞって小節がわかるようにしてください。
- 小節数を書きましょう。カードの小節線の上に1から順に番号を振っておきましょう。
編曲譜にも小節数を書きこんでおきましょう。以上の作業はこのあとの印付けで、
どこまで印を付けたかわかるようにするためです。
- 編曲譜を見ながら、メロディの穴あけ位置に印をつけて、パンチで穴をあけましょう。
下のカードの印付け例で、黒の×印がメロディです。少しずつ印を付けてはパンチで穴をあけて、
オルガニートで演奏してみてください。穴位置がずれていたりしませんか。
- 伴奏の穴あけ位置に印を付けてパンチで穴をあけて、演奏してみて間違えがなければ完成です。
- 間違えて穴をあけてしまった場合は、その穴を裏から粘着テープなどでふさげば大丈夫です。
オルガニート用カードに印を付けたところ
このカードを演奏するとこんな感じに聞えます。本物の録音ではありませんが参考までに
聞いてみてください。[うさぎ試聴]
さて、次回は[STEP1.音量の強弱をつけてみよう]です。
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