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オルガニート作曲・編曲講座

編曲コース STEP1

♪音量の強弱をつけてみよう♪

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 音楽は音量の強弱を付けることによって、よりいきいきとしたものになります。 曲の盛り上がり盛り下がりを付けたり、拍子感を出す (2拍子や3拍子は1拍目が強いとか、4拍子の曲は1拍目が強くて3拍目がやや強いとか) ために音量の強弱を付けるのです。
 ピアノやギターなどの演奏楽器は、演奏者によって音量を変化させることができます。 ピアノだったら鍵盤をたたく強さを変えることによって音量を変化させます。 しかしオルゴールの場合は、音の出る鉄片をはじく強さを変えることができないので、  音量の変化ははじく音の数や音の高さなどで付けるのです。

 では、今回は童謡の「春が来た」を例題にして編曲してみましょう。

♪1.原曲のチェック

 まずは原曲の楽譜を見てみましょう。
「春が来た」原曲譜
 この楽譜を演奏するとこんなふうになります。 [原曲試聴]

 オルガニート用曲カードの黒の縦実線を4分音符の幅にすると、幸いこの曲には 同じ音が短い間隔で続けて出てくるために使えないところはありません。  緑色の音符は、オルガニートにはない音なので、どうにかしなければいけません。

♪2.編曲その1〜オルガニートにない音をどうにかしましょう〜

 まず、4小節目の初めにある低い「ソ」をどうにかします。 どんな方法があるか考えてみましょう。

1.思いきって省略してしまいましょう。[試聴] 最初の小節からずっと1拍目と3拍目に最低音の「ド」が鳴っていたので、ここで伴奏の音が 抜けてしまうと変な感じがします。 「春が来た」4小節目第1案
2.1オクターブ上の「ソ」の音を使うのはどうでしょう。 でもこれはすぐ前の音やすぐ次の音と同じ音になってしまうので、使えません。 「春が来た」4小節目第2案
3.それならもう1オクターブ上の「ソ」にするのはどうでしょう。 [試聴] 「ソ」の音がメロディみたいに聞えてしまいます。 伴奏をメロディより高い音にするのは難しいようです。 「春が来た」4小節目第3案
4.メロディの「レ」の1オクターブ下の「レ」で代用してみましょう。 [試聴]これなら違和感がないようです。 「春が来た」4小節目第4案

[試聴]のマークをクリックすると、それぞれの方法を聞くことができます。 実際に編曲するときは、ピアノやギターなどを持っていれば、自分で弾いて確認してみるのが いいと思います。楽器がなければ、思いきってカードを作って聞いてみてから、 穴を増やしたり穴を埋めたりして修正をしてください。

 次ぎは7小節目です。どんな方法があるか考えてみましょう。

1.思いきって省略してしまいましょう。[試聴] 最初の小節からずっと1拍目と3拍目に最低音の「ド」が鳴っていたので、ここで伴奏の音が 抜けてしまうと変な感じがします。 「春が来た」7小節目第1案
2.「ソ」も「シ」も1オクターブ上げてしまうのはどうでしょう。 これは「ソ」が続いてしまうので、使えません。 「春が来た」7小節目第2案
3.それなら「ソ」だけもう1オクターブ上げるのはどうでしょう。 [試聴] この「ソ」はメロディの付属のように聞こえてしまって、伴奏がないみたいです。 「春が来た」7小節目第3案
4.メロディの「レ」の2オクターブ下の「レ」で代用してみましょう。 [試聴]これならけっこう違和感がないようです。 でもここまでの伴奏のほとんどが、「ド・ソ・ミ・ソ」など音の高さが「低・高・中・高」という 並びになっています。「レ・ソ・シ・ソ」だと「低・中・高・中」という並びなので、 ちょっと今までと違ってしまいます。 「春が来た」7小節目第4案
5.では、「ソ」と「シ」を入れ替えて「レ・シ・ソ・シ」に すれば「低・高・中・高」というふうに今までと同じような形になります。 [試聴]これならばっちりです。 「春が来た」7小節目第4案

♪2.編曲その2〜音量の強弱をつけましょう〜

 原曲譜に書いてある強弱記号(crescedim) を編曲で表現しましょう。 cresceはクレッシェンドといってだんだん音量を強くする記号です。 逆にdimはディクレッシェンド又はディミヌエンドといってだんだん弱くする記号です。 もしこれらの記号が楽譜に書いていなくても、メロディの音が高くなると一般的に盛り上がって 低くなると盛り下がります。前半の4小節間では2小節目の終わりくらいが盛り上がりの頂点で、 後半の4小節間では7小節目の2拍目が頂点です。 曲全体を通して言うと、2小節目終わりが小盛り上がり、 7小節目が大盛り上がりとなります。
 音量を大きくしたいときは音をたくさん使うのが定石です。 音の数を増やすときには、同じ和音の音もしくは近くで使われている音 を増やしてあげるようにしましょう。違う和音の音を使うと濁った響きになったり、 明るいはずが暗い感じの響きになってしまったりします。 和音についての詳しいことはまた今度書きます。
 では実際にやってみましょう。
編曲講座「春が来た」

  • 2小節目から3小節目が小盛り上がりなので音を1つずつ増やします。増やす音は伴奏で 使われている音の1オクターブ上の音にしました。もちろん、メロディの音の1オクターブ下の 音でもOKです。
  • 後半は6小節目から少しずつ音を増やして、7小節目の2,3拍目を最も多くしました。 7小節目の前半と8小節目の伴奏は「ドソミソ」なので、増やす音は「ド」か「ミ」か「ソ」にします。 後半は「レシソシ」なので、増やす音は「レ」か「ソ」か「シ」にします。
  • 7小節目の最後の「ソ」の音の部分は音を増やしませんでした。拍の途中にある短い音は さりげなく過ぎていったほうが音楽の流れがよくなるからです。
 この楽譜はこんな感じに聞えます。[試聴]いかがでしょうか。

♪3.カードの製作

 この曲は4拍子なので、オルガニート用カードの縦の実線4本おきに線をなぞって小節がわかるようにしましょう。 小節数も書きこんでおくと間違いの防止になります。 編曲譜を見ながら、メロディの穴あけ位置に印をつけて、パンチで穴をあけ聞いてみましょう。 間違いがなければ伴奏の印付けをして穴あけをして聞いてみて間違いがなければ完成です。 音が少ないなと思ったら追加して穴をあけてみましょう。 音が多すぎると思ったらあけた穴を粘着テープなどでふさいでください。

上の編曲譜をカードに印付けをするとこのようになります。
「春が来た」カード印し付け例
黒の×印がメロディ、緑色の×印が伴奏です。


まとめです。

  • 小節の頭の音は大切なので、省略しないようにしましょう。
  • 伴奏はメロディより高い音にならないようにしたほうが無難です。
  • 盛りあがり盛り下がりは強弱記号と、メロディの音の高低を参考にして、 曲全体を通して計画を立てましょう。
  • 音量を大きくするときには音の数を増やしましょう。
  • 増やす音は、メロディや伴奏で使われている音を使うのが確実です。


 さて、次回は[STEP2.ゆっくりな曲の編曲]です。