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オルガニート作曲・編曲講座

編曲コース STEP2

♪ゆっくりな曲の編曲♪

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 [編曲コース・基礎編]で、オルガニート用カードの縦実線の間隔を、楽譜上の4分音符にするのが 一般的という話をしましたが、これは曲のテンポ(速さ)によって異なります。 今回は、曲のテンポによってオルガニート用カードの縦線をどう使いわけたらいいか、 その目安について、お話します。

♪1.オルガニートカードの1拍の長さ

一般的な場合 ゆっくりな曲の場合
一般的な場合 ゆっくりな曲の場合
 オルガニートのカードに描かれている縦の実線の間隔は、それより狭い間隔で同じ音を 使えません、という基準です。一般的にはその間隔を4分音符とみなすことが多いのですが、 2分音符でも8分音符でもかまわないのです。
 もし、縦実線の間隔を2分音符にした場合は、曲によっては使えない音がたくさん出てきてしまうことでしょう。
逆に8分音符にすると、使えない音がずいぶん減って編曲しやすくなります。ところが、 カードの長さは4分音符単位で編曲した場合の2倍になってしまいますし、 演奏するときハンドルを回す速さも2倍にしなければならないのです。 速めの曲の場合には、ものすごく速くハンドルを回さなければならなくなります。 でも、ゆっくりな曲の場合にはハンドルを速く回す必要もないので、お勧めです。
 では、曲のテンポがどのくらいまでなら、縦実線を8分音符にしても大丈夫なのか、 をお話する前に、曲のテンポは楽譜にどのように表されているか見てみましょう。

♪2.楽譜のテンポ表示

 楽譜のテンポ表示は曲の初め(楽譜の左上)に“=60”や、“Andante”のように書かれています。 数字で表す方法と、言葉で表す方法の2通りあります。
 “=60”はメトロノーム記号と呼ばれることもあります。この例の場合は、 “4分音符”が1分間に“60回”入る速さ、を表しています。つまり、4分音符が1秒のテンポ になります。数字が小さいほどゆっくりなテンポになります。“=120”や、 “=92”のように書いてあることもあります。

 言葉で表すときは、主にイタリア語の形容詞が使われます。 主要な用語を遅いほうから順に並べ、日本語の意味と数字で表したときの目安を表にまとめました。

速度用語読み方日本語の意味メトロノーム記号
Lentレント遅く44〜46
Largoラルゴ幅広くゆるやかに52〜54
Adagioアダージョゆるやかに56〜58
Andanteアンダンテゆっくりと歩く速さで60〜70
Moderatoモデラート中くらいの速さで88〜96
Allegroアレグロ快速に120〜132
Vivaceヴィヴァーチェ速く、生き生きと144〜152
Prestoプレストきわめて速く144〜152

 ただし、メトロノーム記号はあくまでも目安です。そのとおりでなければいけないということはありません。 最終的には、自分の好みのテンポで演奏するのが一番です。

♪3.曲のテンポと拍の長さの目安

 [作品集]で公開している編曲作品の中で、 最もテンポの速い曲は「一週間」=144)です。 この曲を演奏するときは、けっこう速いスピードでハンドルを回さなければなりません。 仮に、このテンポがハンドルを回す限界の速さとしましょう。 そうなると、その半分のテンポ(=72)より遅いテンポならカードの縦実線を8分音符にして 編曲しても、演奏可能ということになります。

♪4.例題1「うさぎ」

[編曲コース・基礎編]で例題として編曲した「うさぎ」の楽譜には “=72”というテンポ指定があります。 基礎編では縦実線を4分音符単位で編曲しましたが、8分音符単位にして再検討してみましょう。 使えなかった音がずいぶん使えるようになります。原曲の楽譜を見てみましょう。 緑の音符は、音が低すぎるので使えません。青い音符は 16分音符なので、どちらかを省略しなければなりませんが、他の音は大丈夫です。
うさぎ原曲譜

 [編曲コース・基礎編]での、編曲楽譜に今回の変更点を加えました。
うさぎ編曲譜

これをカードにするとこのようになります。
「うさぎ」カード印し付け例
オルガニート用カードに印を付けたところ

 [編曲コース・基礎編]で編曲したものと、今回の編曲を聞き比べてみてください。
[うさぎ基礎編試聴] [うさぎ今回試聴]

♪5.例題2「かなりや」

 この曲の楽譜にはメトロノーム記号で“=80”と書いてあります。 少しゆったりめの演奏でもよければ、縦実線を8分音符単位に使うと、編曲しやすくなります。 4分音符単位の編曲にすると、たくさん使えない音があります。 今回は3番のメロディで編曲してみましょう。 まずは、原曲譜のチェックです。
 比較のために、4分音符単位の編曲をするときと、8分音符単位の編曲をするときの両方を 見てみす。緑色の音符はオルガニートにはない音です。 青の音符は、同じ音が狭い間隔で出てくる部分です。

かなりや原曲譜(4分音符単位の場合)
かなりや原曲譜

かなりや原曲譜(8分音符単位の場合)
かなりや原曲譜

 下の編曲譜は、色の付いている音符を省略したり他の音で代用したものです。 更に、グレーの音符は新たに付け足した音です。
かなりや編曲譜

  • 2小節目、メロディで「ド」が続くところは、2番目の音を省略しました。1番目の「ド」 の音を省略すると、他に何も音がなくなってしまいますが、2番目の「ド」の位置には他にも 音があるからです。もし、カードを作成し演奏してみて変な感じがしたら、1番目の「ド」の位置に 穴をあけて、2番目の「ド」の穴は粘着テープでふさいで演奏してみてください。
  • 3小節目、伴奏の緑の音は、メロディに出てくる「レ」の1オクターブ下の「レ」で代用しました。
  • 5小節目からはメロディの音がだんだん高くなっていき盛りあがった感じになるので、 音を増やしました。メロディで使っている音の1オクターブ下や伴奏で使っている音の1オクターブ上 の音を付け足しました。
  • 9小節目からも同様に音を足しました。伴奏の音の1オクターブ上の音を足しています。 メロディの1オクターブ下の音を足してもいいのですが、低い音がたくさんあると重い響きになってしまいます。 高い音がたくさんあったほうが、明るくかわいらしい響きになります。この曲の 「かなりや」のイメージは重々しいよりはかわいらしいと思い、高い音を付け加えることにしました。

 これをカードにすると、下のようになります。
「かなりや」カード印し付け例
クリックすると[拡大]したカード画像を見ることができます。

 もし、もっと長い曲でカードの長さが足りない場合は、2枚のカードを粘着テープで貼り合わせれば 大丈夫です。その場合は、カードとカードが重ならないようにして、表からも裏からも粘着テープを貼るといいです。
 上の編曲譜を演奏するとこんな感じに聞えます。[かなりや試聴]いかがでしょうか。

まとめです。

  • =72以下くらいのゆっくりな曲は、 カードの縦実線を8分音符単位に使うと編曲しやすくなります。
  • 同じ音が続くとき、その音を省略したら何も音がなくなってしまうほうは、なるべく残すようにしましょう。
  • 盛り上げるために音を付け加えるとき、低めの音を多くすると重い感じに、高い音を多めにすると 明るい感じになります。


 さて、次回は[STEP3.ハ長調以外での編曲]です。