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オルガニート作曲・編曲講座

編曲コース STEP3

♪ハ長調以外での編曲♪

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 [編曲コース・基礎編]で、オルガニート用に編曲するには、ハ長調でなければなりません、と 書きましたが、実はハ長調以外の調でも編曲できる曲があります。というよりも、 ハ長調以外の調で編曲したほうがいい曲があります。今回は、どんな曲の場合、ハ長調以外の調で 編曲したほうがいいのかをご説明します。

♪1.ハ長調でなくても編曲できる曲

 簡単にいうと、ハ長調に移調したとき、メロディに「ファ」または「シ」が出てこない曲が、 ハ長調でなくても編曲しやすい曲です。メロディに「ファ」が出てこない曲は、へ長調で編曲できます。 メロディに「シ」が出てこない曲は、ト長調で編曲できます。
 メロディに「ファ」と「シ」の両方が使われていない曲は、 俗に「ヨナ抜き」の音階を使った曲と言われます。「ヨナ抜き」とは「四七抜き」のことで、 「ド」から数えて「ファ」は4番目、「シ」は7番目なので、四番目の音と七番目の音が抜けている という意味です。 日本の童謡やアイルランド民謡、スコットランド民謡、中国や韓国の民謡にたくさんあります。

♪2.ハ長調以外で編曲したほうがいい曲

 上記の曲の中で、特にハ長調ではなくへ長調やト長調で編曲したほうがいい場合があります。 簡単にいうと、メロディで使われている音の中で一番高い音が「シ」から「ミ」までの曲です。
 メロディで一番高い音が「シ」「ド」「レ」「ミ」のどれかの場合はヘ長調、 「シ」「ド」「レ」のどれかの場合はト長調で編曲するとハ長調より編曲しやすくなります。 でもこれは、あくまでも編曲のコンセプトにかかわってくるので編曲者の選択に任されるものですが、 原曲の楽譜からほぼそのままオルガニート用に移すのには、ハ長調でないほうがやりやすい曲が あるので、例を出しながらご紹介します。

♪3.調の選択

 下の楽譜は童謡の「あめふり」(♪あめあめ降れ降れ母さんが〜♪)をハ長調に移調したものです。
「あめふり」原曲譜(ハ長調)

メロディの一番高い音は「ド」で、「レ」より上の音は出てきません。オルガニートの最高音は「ラ」 ですから、原曲どおりに編曲しようと思うと、高音側の「レ」から「ラ」までは 使わないことになってしまいます。なんだかもったいない気がします。
 そこで、他の調で編曲することができないか、検討してみます。楽譜を見ると、メロディに 「ファ」も「シ」も出てきません。つまりへ長調でもト長調でも編曲ができるのです。
 では、へ長調とト長調のどちらにするかを検討します。 ヘ長調にすると一番高い音は「ファ」、ト長調にすると一番高い音は「ソ」になります。 この曲の雰囲気を考えてみると、♪ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ〜♪の部分は水が飛び散っている 情景なので、高い音のほうが合う感じがします。なるべく高い音になるようにト長調で 編曲することにします。

♪4.ハ長調からト長調またはへ長調への移調

 下の楽譜はト長調に移調した楽譜です。
「あめふり」原曲譜(ト長調)

ハ長調からト長調に移調するには、すべての音を5つ上の 音に置き換えればいいのです。つまり、ハ長調の「ド」はト長調では、 5つ上の音になるので「ソ」になります。 「5つ上」の音を数えるときは、始りの「ド」も行きついた先の「ソ」も両方含めてください。
 ハ長調をへ長調に移調するの場合は、すべての音を4つ上の音に置き換えてください。 ハ長調の「ファ」はヘ長調では、4つ上の音の「ファ」になります。 「4つ上」の音を数えるときは、始りの音も行きついた先の音も両方含めてください。

♪5.編曲実践

 では、「あめふり」を実際に編曲してみましょう。
 曲のテンポはわりと速めなので、オルガニートカードの縦実線が4分音符になるように編曲する ことにします。
 いつものように、オルガニートにはない音と、4分音符より短い間隔で同じ音が 続いて出てくるところに印を付けましょう。原曲譜(ト長調)の緑色の音符はオルガニートには ない音、青色の音符は同じ音が続いているところです。ここで、ト長調のときに注意しなければ ならないことがあります。ト長調にはもともと「ファ」に♯(シャープ)が付いています。 楽譜上の「ファ」にはすべて♯が付いているのです。「ファ♯」はオルガニートにはない音です。 「ファ♯」を使わないように編曲しなければなりません。
 へ長調の場合にはもともと「シ」に♭(フラット)が付いていますので、 「シ♭」を使わないように編曲しなければなりません。

 下の楽譜は編曲譜です。赤丸の部分は原曲譜で印の付いていた部分です。グレーの音符は、 追加した音です。
「あめふり」編曲譜

  • 「ファ♯」が鳴っている部分は他にも音があるので、すべて省略しました。
  • 1小節目と5小節目の「ソ」が続く部分は、真中の「ソ」を他の音で代用することにしました。 真中の「ソ」を省略してしまうと、その部分には全く音がなくなってしまい、せっかくの 楽しそうなリズムが消えてしまいます。代用する音は、すぐ次の拍に出てくる「レ」にしました。 そうすると、次の拍の「レ」は使えなくなるので、省略します。
  • 同じように6小節目の「ミ」も2番目を他の音で代用します。1オクターブ下の「ミ」で 代用することにします。そうすると、すぐ前の「ミ」が使えなくなるので、省略します。
  • 同じように7小節目の「シ」も2番目のを他の音で代用します。次の拍の「レ」で 代用することにします。次の拍の「レ」は省略します。
  • メロディと伴奏の音の高さが離れているところは、間に音を追加しました。追加した音は、 メロディの1オクターブ下の音か、伴奏の1オクターブ上の音です。

 これをカードにすると、下のようになります。
「あめふり」カード印し付け例

 演奏するとこんな感じに聞えます。[あめふり試聴]いかがでしょうか。

まとめです。

  • メロディに「ファ」が出てこない曲は、ヘ長調でも編曲できます。
  • メロディに「シ」が出てこない曲は、ト長調でも編曲できます。
  • メロディで一番高い音が「シ」「ド」「レ」「ミ」のどれかの場合はヘ長調での編曲を 考えてみましょう。
  • メロディで一番高い音が「シ」「ド」「レ」のどれかの場合はト長調での編曲を 考えてみましょう。
  • ヘ長調で編曲するときは、「シ♭」が使えないので注意しましょう。
  • ト長調で編曲するときは、「ファ♯」が使えないので注意しましょう。
  • 使えない音の代用を考えるときは、同じ拍で使われている音か、同じ小節内の隣の拍で 使われている音にすると無難です。


 次回は、[STEP4.アルペジオを使ってみよう]です。