[編曲コース・基礎編]で、オルガニート用に編曲するには、ハ長調でなければなりません、と
書きましたが、実はハ長調以外の調でも編曲できる曲があります。というよりも、
ハ長調以外の調で編曲したほうがいい曲があります。今回は、どんな曲の場合、ハ長調以外の調で
編曲したほうがいいのかをご説明します。♪1.ハ長調でなくても編曲できる曲簡単にいうと、ハ長調に移調したとき、メロディに「ファ」または「シ」が出てこない曲が、 ハ長調でなくても編曲しやすい曲です。メロディに「ファ」が出てこない曲は、へ長調で編曲できます。 メロディに「シ」が出てこない曲は、ト長調で編曲できます。メロディに「ファ」と「シ」の両方が使われていない曲は、 俗に「ヨナ抜き」の音階を使った曲と言われます。「ヨナ抜き」とは「四七抜き」のことで、 「ド」から数えて「ファ」は4番目、「シ」は7番目なので、四番目の音と七番目の音が抜けている という意味です。 日本の童謡やアイルランド民謡、スコットランド民謡、中国や韓国の民謡にたくさんあります。 ♪2.ハ長調以外で編曲したほうがいい曲上記の曲の中で、特にハ長調ではなくへ長調やト長調で編曲したほうがいい場合があります。 簡単にいうと、メロディで使われている音の中で一番高い音が「シ」から「ミ」までの曲です。メロディで一番高い音が「シ」「ド」「レ」「ミ」のどれかの場合はヘ長調、 「シ」「ド」「レ」のどれかの場合はト長調で編曲するとハ長調より編曲しやすくなります。 でもこれは、あくまでも編曲のコンセプトにかかわってくるので編曲者の選択に任されるものですが、 原曲の楽譜からほぼそのままオルガニート用に移すのには、ハ長調でないほうがやりやすい曲が あるので、例を出しながらご紹介します。 ♪3.調の選択下の楽譜は童謡の「あめふり」(♪あめあめ降れ降れ母さんが〜♪)をハ長調に移調したものです。メロディの一番高い音は「ド」で、「レ」より上の音は出てきません。オルガニートの最高音は「ラ」 ですから、原曲どおりに編曲しようと思うと、高音側の「レ」から「ラ」までは 使わないことになってしまいます。なんだかもったいない気がします。 そこで、他の調で編曲することができないか、検討してみます。楽譜を見ると、メロディに 「ファ」も「シ」も出てきません。つまりへ長調でもト長調でも編曲ができるのです。 では、へ長調とト長調のどちらにするかを検討します。 ヘ長調にすると一番高い音は「ファ」、ト長調にすると一番高い音は「ソ」になります。 この曲の雰囲気を考えてみると、♪ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ〜♪の部分は水が飛び散っている 情景なので、高い音のほうが合う感じがします。なるべく高い音になるようにト長調で 編曲することにします。 ♪4.ハ長調からト長調またはへ長調への移調下の楽譜はト長調に移調した楽譜です。ハ長調からト長調に移調するには、すべての音を5つ上の 音に置き換えればいいのです。つまり、ハ長調の「ド」はト長調では、 5つ上の音になるので「ソ」になります。 「5つ上」の音を数えるときは、始りの「ド」も行きついた先の「ソ」も両方含めてください。 ハ長調をへ長調に移調するの場合は、すべての音を4つ上の音に置き換えてください。 ハ長調の「ファ」はヘ長調では、4つ上の音の「ファ」になります。 「4つ上」の音を数えるときは、始りの音も行きついた先の音も両方含めてください。 ♪5.編曲実践では、「あめふり」を実際に編曲してみましょう。曲のテンポはわりと速めなので、オルガニートカードの縦実線が4分音符になるように編曲する ことにします。 いつものように、オルガニートにはない音と、4分音符より短い間隔で同じ音が 続いて出てくるところに印を付けましょう。原曲譜(ト長調)の緑色の音符はオルガニートには ない音、青色の音符は同じ音が続いているところです。ここで、ト長調のときに注意しなければ ならないことがあります。ト長調にはもともと「ファ」に♯(シャープ)が付いています。 楽譜上の「ファ」にはすべて♯が付いているのです。「ファ♯」はオルガニートにはない音です。 「ファ♯」を使わないように編曲しなければなりません。 へ長調の場合にはもともと「シ」に♭(フラット)が付いていますので、 「シ♭」を使わないように編曲しなければなりません。 下の楽譜は編曲譜です。赤丸の部分は原曲譜で印の付いていた部分です。グレーの音符は、 追加した音です。
これをカードにすると、下のようになります。 演奏するとこんな感じに聞えます。[あめふり試聴]いかがでしょうか。 |
まとめです。
次回は、[STEP4.アルペジオを使ってみよう]です。 |