これまでは編曲する上で、使えない音を他の音で代用するときは、近くで使われている音を
使うといい、という説明をしてきました。今回は、代用する音を探すために、
簡単な和音の知識と編曲での和音の利用法を説明します。 ここでは20弁のオルガニート用の編曲を対象にしていますので、 ハ長調によく出てくる和音に限ってついてお話します。 そして今回は、コードネームのお話を中心にします。 ♪1.コードネームとは市販の楽譜には下の楽譜例(「聖夜(きよしこの夜)」の最初の部分) のように五線譜のすぐ上にアルファベットがところどころ書いてあるものが あります。これがコードネームです。コードは和音、ネームは名前、つまり「和音の名前」のことです。 アルファベットは主に大文字のAからGまで出てきます。 他にMやm、♯や♭、数字の7もよく出てきます。 ♪2.ハ長調に出てくる和音とコードネームの読み方これはハ長調の音階と各国語での音の名前です。 この音階をもとに3つの音で構成される和音を作ってみましょう。 それぞれの音の上に音符が重ならないようにしかも離れないように、 2つの音を付け加えて和音にします。 これがハ長調で出てくる主な和音です。和音の下に書いてあるアルファベットがコードネームです。 コードネームは、3つの音で構成される和音の一番低い音(これを「根音(こんおん)」と呼びます) の英語の音名ということになります。 ところで、和音には明るい響きの和音と暗い響きの和音があります。詳しい説明はここではしませんが、暗い和音のときは m(minerの意味)を右下に沿えることになっています。 Dmの場合は「ディーマイナー」と読みます。 Bの和音はG7から「ソ」が省略されているみなすことにします。 実際にほとんど使われません。 ♪3.ハ長調にときどき出てくる和音下の5線譜には、ハ長調の和音ではないのですが、ハ長調の曲にときどき出てくる 和音のコードネームと構成音をまとめました。このように、♯や♭が付いています。オルガニートは♯や♭の付いた音は出せないので、 編曲するときはこれらの音は省略することが多いです。 ♪4.コードネームの応用表記基本のコードネームの話は終わりました。やや応用編です。ベース音は根音にするのが基本ですが、曲の中での音の流れや意表をついたりするとき、 ベース音に根音意外の音を使うことがよくあります。このとき、コードネームに沿えてベース音も 書く場合があります。「C/E」は和音は「ドミソ」で、ベース音に「ミ」を使うという意味、 「F/G」は「ファラド」の和音ですが、和音以外の「ソ」をベース音に使うという意味です。 「/」も「on」も意味は同じです。 ♪5.コードネームの適用範囲コードネームは楽譜のところどころにしか書いてありません。楽譜の最初の小節には 必ず書いてありますが、その他の小節には全く書いていなかったり、1小節の中に2つ以上 書いてある場合もあります。それぞれのコードが適用される範囲は、そのコードネームの 書いてある場所から、次のコードネームの書いてある直前までです。♪6.コードネームの移調ハ長調でない楽譜は、オルガニート用に編曲するにはまずハ長調に移調する作業があります。 そのとき、コードネームも移調しなければなりません。難しいことはありません。 楽譜の音符を移調するのと同じです。コードネームのアルファベットは和音の最低音(根音)を英語表記していることは前に 説明しました。コードネームの根音を音符と思って移調すればいいのです。 このページの最初にある楽譜例は、「聖夜(きよしこの夜)」の移調前のメロディ譜の冒頭です。 この楽譜は♭が2つなので変ロ長調です。 ([ハ長調への移調の方法] 参照)「シ♭」が主音なので、 すべての音とコードネームは上に音2つ分移動させればいいのです。この「2つ」とは 始りの音と終わりの音の両方を含めてください。 楽譜例の最初の音は「ファ」なので、2つ上にずらすと「ソ」です。コードネームは「B♭」 つまり「シ♭」です。♭のことは無視して、2つ上にずらすと「ド」、コードネームに直すと 「C」になります。 ♪7.コードネームの使い方では、実際に編曲をしながらコードネームをどのように利用したらいいのかをご説明します。 今回の曲は賛美歌の「聖夜(きよしこの夜)」です。まずは原曲譜です。小節の左上に付いているアルファベットがコードネームです。 この曲は結構ゆっくりな曲ですが、今回は4分音符単位の編曲にします。 いつものように、緑の音符はオルガニートにはない音、青の音符は同音が近い音です。 ここで、曲と楽譜の解説を少々。 この曲は8分の6拍子です。 8分の6拍子とは、1小節の中に8分音符が6個入っている拍子のことです。 1拍目が1番強くて次に4拍目が強い、1小節に小さい3拍子が2つ入っているような拍子です。 この拍子感を出すように編曲することにします。 3段目の2小節目の「ド」についている「スラー」は、「スラー」ではなくて「タイ」です。 タイは必ず2つの同じ音にかかています。2つの同じ音をつなげて演奏するという意味なので、 タイのかかっている後ろの音は、オルゴールでは基本的に鳴らしません。 では、編曲譜です。赤○印は省略した音、グレーの音符は追加した音です。
♪8.カード作りこの曲は8分の6拍子です。小節線は3拍子と同じように縦実線3本おきに書きます。 カードに印をつけると下のようになります。 |
演奏するとこんな感じになります。[聖夜試聴] |
まとめです。
次は[STEP6.和音2・自分で和音を調べよう]です。 |